第28回世界連邦日本大会(金沢2009)
パネルディスカッション

世界連邦の実現に向けて
〜グローバル福祉社会の道を考える〜


コメント要旨とプロフィール

コーディネーター 平口 哲夫 (ひらぐち てつお)
 
“多角的な視点で世界連邦運動を推進しよう!”

世界連邦運動協会2009年度運動方針のうち、世界連邦推進日本協議会構成団体に共通する国際的な重点目標は、@2007年ジュネーブWFM世界大会採択「国際刑事裁判所(ICC)規定条文中に核兵器使用禁止条項を明記する」決議の実現化、2005年衆議院採択決議文中の「世界連邦実現への道の探求」を世界的に強く推進、A国際連帯税の創設を求める運動に積極的に協力、B「国連議員総会設立賛同の呼び掛け(CUNPA)」ぼ広報活動を強力に推進、C核廃絶をめざし、2010年5月開催の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を成功させるため、「核軍縮会議」を日本で早期開催するよう政府に強く働きかける、の四つである。今回の世界連邦日本大会では、国際連帯税を中心に上村雄彦氏に基調講演をお願いし、第27回世界連邦日本大会の基調講演で地球温暖化問題を取り上げた田中優氏、グローバル・ガヴァナンス関係の国際会議参加経験の豊富な勝見貴弘氏、国際的な人権問題に取り組んでおられる土井香苗氏にパネリストとして参加していただく。
 
プロフィール:1945年敦賀市生まれ。1974年東北大学大学院文学研究科博士課程(考古学専攻)単位取得後、金沢医科大学講師に着任。現在、同大学一般教育機構教授。2003年に世界連邦運動協会と日本平和学会に入会。現在、世界連邦運動協会石川県連合会理事長同協会執行理事



パネリスト(基調講演者) 上村 雄彦 (うえむら たけひこ)

“持続可能なグローバル福祉社会をつくるには”
〜国際連帯税の可能性を中心に〜

 
国際連帯税が脚光を浴びている。その理由は、@貧困問題や温暖化対策などに必要な資金を創出し、A投機マネーを抑制してグローバル金融市場を安定させ、B現在の強者や強国に偏向した不透明で、非民主的で、アカウンタビリティ(説明責任)を欠くグローバル・ガヴァナンスを、透明で、民主的で、アカウンタブルな(説明責任を果たす)ものに変えうるからである。
 
すでに航空券連帯税が実施されており、現在は通貨取引税が焦点となっている。10月には国際連帯税を進めるリーディング・グループの中にタスクフォース(作業部会)が設置され、イギリス金融サービス庁長官が通貨取引税を支持するなど、連帯税の実現性が高まりつつある。
 
日本においても、国会議員が国際連帯税議員連盟を、政府が地球環境税等研究会を、市民社会は国際連帯税を推進する市民の会を設立した。そして、議連との協力の下、国際連帯税推進協議会(座長:寺島実郎・多摩大学学長)が創設され、日本が連帯税を実現させる鍵を握りつつある。
 
プロフィール:1965年大阪生まれ。大阪大学大学院法学研究科修士課程、カールトン大学大学院国際関係研究科修士課程修了。博士(学術、千葉大学)。カナダ国際教育局カナダ・日本関係担当官、国連食糧農業機関(FAO)住民参加・環境担当官、千葉大学地球福祉研究センター准教授等を経て、現在、横浜市立大学国際総合科学部准教授国際連帯税推進協議会委員。“持続可能なグローバル福祉社会”の実現を願いながら、研究・教育・実践・ネットワーク活動を行なっている。著書:『世界の貧困問題をいかに解決できるか』(現代図書)、『グローバル化の行方』(新世社)、『国際関係論を超えて』(山川出版社)、『新世紀における永続可能な発展の新しい挑戦』(CIER出版、英文)、『世界から貧しさをなくす30の方法』(合同出版)、『おカネで世界を変える30の方法』(合同出版)、『ALL YOU NEED IS GREEN』(講談社)など。



パネリスト 田中 優 (たなか ゆう)

 “環境の視点から世界平和の実現を考える”

  
環境問題と平和運動は、通常は別々の問題として語られる。しかし現実の紛争はほとんどが「石油、天然ガス、パイプライン、鉱物資源、水」の奪い合いとして起こることが多い。それが紛争の原因だとした場合、平和を実現するには省エネや自然エネルギー利用が最も効果的だ。一方で軍事が排出するCO2は莫大な量であることから、平和は環境問題の解決に欠かせない。世界平和の実現は、今深刻化している地球環境問題の解決策と共通している。それを実現していくための一歩として、環境の視点を提示したい。
 
プロフィール:1957年東京都生まれ。地域リサイクル運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。現在、未来バンク事業組合理事長日本国際ボランティアセンター理事ap bank監事一般社団天然住宅 共同代表一般財団信頼資本財団理事天然住宅バンク代表など。立教大学大学院、和光大学大学院、大東文化大学非常勤講師。著書:『戦争をしなくてすむ30の方法』『世界の貧しさをなくす30の方法』『おカネで世界を変える30の方法』(合同出版)、『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた』(岩波書店)、『地球温暖化/人類滅亡のシナリオは回避できるか』(扶桑社新書)、『今すぐ考えよう地球温暖化! 1〜3』(岩崎書店)、『おカネが変われば世界が変わる』(コモンズ)、『環境教育、善意の落とし穴』(大月書店)など。



 
パネリスト 勝見 貴弘 (かつみ たかひろ)
 
“日本から人間の安全保障を”
〜グローバル・ガヴァナンス確立への道筋〜

  
日本政府が外交の基本方針として掲げる「人間の安全保障」の推進は、安全保障の課題として人間の生存、生活、尊厳を脅かすあらゆる種類の脅威を包括的に捉え、これらに対する取り組みを強化しようとするものである。この「人間の安全保障」と並行して発達した新たな概念に「保護する責任」がある。これは、自国民の保護という国家の基本的な義務を果たす能力のない、あるいは果たす意志のない国家に対し、国際社会全体が当該国家の保護を受けるはずの人々について「保護する責任」を負うという概念である。これも、国連の成果文書として認められ、国際社会において一定の市民権を得ている。グローバル・ガヴァナンス実現の試金石ともいえる「人間の安全保障」確立のため、日本政府の実践すべき政策として現在推進されている国連緊急平和部隊(UNEPS)、人間の安全保障センター、国際通貨取引開発税に焦点を絞り、これらの発展と確立がいかに日本をして憲法前文に恥じない、グローバル・ガヴァナンス確立の立役者たらしめるか、その道筋を示す。
 
プロフィール:1972年旧・西ベルリン生まれ。米ボストン大学国際関係学部卒業後、日系翻訳会社勤務中にボランティアで世界連邦運動協会が事務局を務める市民ネットワーク『国際刑事裁判所問題日本ネットワーク』(JNICC)に参加。国際連絡担当として国際刑事裁判所(ICC)に関する数々の国際会議に代表代理として参加。2007年3月から現職(参議院議員犬塚直史事務所 外交政策担当)に就き、同年8月のジュネーヴ世界連邦運動世界大会では世界連邦本部執行理事の推薦により世界連邦運動理事に互選される。翌2008年11月のハーグ世界連邦運動理事会では世界連邦運動執行理事に互選され、その後も議員事務所の活動としてICCに限らないその他のグローバル・ガヴァナンス関連の国際会議に出席。戦争五行歌集『人を殺せとをしへしや』(桜出版)に寄稿歌17首掲載。 
 


パネリスト 土井 香苗 (どい かなえ)
 
“人権外交に影響力行使を!”
  
 世界では、人権=「人間の最低限の尊厳」さえも踏みにじられる行為が続いている。拷問、拉致・強制失踪、紛争下での民間人の大量殺害、恣意的逮捕や強制収容、追放と難民化などだ。近隣アジアでも、北朝鮮、ビルマ、スリランカ、中国のチベットやウイグル、アフガニスタンなどで、大規模な人権侵害が続く。こうした人びとの苦しみを前に、これまでの日本外交は、だんまりを続けてきた。厳しい言い方に聞こえるかもしれないが、権力側につき、被害者側は見捨ててきたのが実態だ。「保護する責任」をはたしていない。民主党の新政権ができたが、従前の「上から目線」の外交は変わるのだろうか。日本は、アジア諸国を中心に、世界各国に多額の資金援助=ODAを出しており、大きな外交的な影響力を持っている。この「影響力」を、日本政府は、被害者たちのために使う準備はできているのか。鳩山政権の「友愛」外交を問う。
  
プロフィール:1975年神奈川県生まれ。1996年司法試験合格後、NGOピースボートのボランティアとして、アフリカ最新独立国のエリトリアに赴き、1年間、エリトリア法務省で法律作りのボランティア。その後、1998年東京大学法学部卒。2000年司法研修所終了。2000年から弁護士。普段の業務の傍ら、日本にいる難民の法的支援や難民認定法の改正のロビーイングやキャンペーンにかかわる。2006年6月米国ニューヨーク大学ロースクール修士課程終了(国際法)。2007年、米国ニューヨーク州弁護士。2006年から国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチのニューヨーク本部のフェロー。2007年から日本駐在員。2008年9月から東京ディレクター(日本代表)。著書:『“ようこそ”といえる日本へ』(岩波書店)、『テキストブック現代の人権 第3版』(日本評論社)など。 

 


《概  要》








コーディネイター 平口哲夫
“多角的な視点で世界連邦運動を推進しよう!”

本日お集まりのパネリストのみなさんは先生と呼ばれてもおかしくない方々ばかりですが、この場ではすべて「さん」づけで呼ぶことにさせていただきます。

今大会の基調講演は、何人かの候補者の中から選ばれた第一候補、さきほどのご講演でもご紹介のあった某先生がお断りになったため、上村さんにお願いすることになりました。つまり、テーマよりも先に人物を決めたということなのですが、お断りになった先生と関係の深い人に基調講演を引き受けていただくことになって良かったと思っています。

基調講演の講師が決まってから、テーマとの関係を考えながら世界連邦運動協会の理論政策委員から推薦いただいた方々にパネリストをお願いすることにいたしました。その際、私は私よりも若い世代、つまり昭和20年(1945)よりもあとに生まれた方という条件をつけました。世界連邦運動を次の世代に継承していくためです。

まず、基調講演をふまえて、田中さん、勝見さん、土井さんの順にお一人10分ということでコメントいただくことにします。では田中さん、よろしくお願いします。




パネリスト 田中 優  “環境の視点から世界平和の実現を考える”



今のグローバル・タックスの話にちなみ、お金の話、その前に石油の話をしたいと思います。世界の巨大油田は1980年以前に発見され、それ以降は小さなものしか見つかっていません。石油の消費量はどんどん右肩上がりで増えています。油田から取れる石油の総量は、IEAの資料によれば、2008年1月にピークを迎え、生産量は減少し始めています。これをピークオイルと呼びます。その時期に石油が急激に値上がりしました。その後にリーマンショック、サブプライム問題、世界同時不況に突入しました。その引き金はピークオイルではなかったかと取りざたされています。しかも石油でもうかるのは最上流の油田です。イラクをはじめ、現在の世界の紛争地は、「石油、天然ガス、パイプライン、鉱物資源、水」といった資源がある土地に集中しています。民族や宗教問題によるものではありません。去年暮れから今年はじめにかけてのガザに対するイスラエルの攻撃も、2000年にガザ沖に発見された海洋ガス田と関係していると思います。ハマス政権に毎年43億ドルが入るのを、阻止しようとしたのです。しかし100年後のエネルギーは、自然エネルギーしかない。だとすれば早く切り替えるべきです。

核兵器を廃絶し、全ての軍備をやめれば、環境破壊や地球温暖化などの問題を一年で解決し、なおかつお釣りがくるという試算があります。それなのに私たちは自らを滅ぼすためのお金を使っています。これはばかげたこと、自殺の惑星です。地球温暖化から見ても、全世界の軍事が排出する二酸化炭素排出量が莫大です。環境の運動だけでは地球温暖化は防げません。平和運動を一緒に進めていかないと。だから世界連邦運動がやっていることは、環境の面からも、とても重要なのです。この運動を成功することができなかったら、私たちはやっぱり地球温暖化で滅んでしまう。そこに使われているのが私たちの貯金です。私たちの郵便貯金や銀行預金、政府が発行する国債からアメリカ政府の国債が買われ、イラク戦争の資金になりました。日本からのカネは9・11以後急激に伸び、イラク戦争勃発後さらに伸び、私たちの貯金がこの戦争を支えてしまった構造になっています。私はこうしたおカネの流れを問題だと考えてきたので、15年前に未来バンクを設立しました。

3%固定金利、しかも単利で環境・福祉・市民事業にだけ融資する。こうしたNPOバンクが、いまや全国各地にできつつある。その中で有名なのが、ap bankです。Mr.Childrenの桜井和寿さん、音楽プロデューサーの小林武史さん、音楽家の坂本龍一さんのみの出資で環境に関する事業にのみ投資しています。私は監事をしています。おカネの流れが変わりはじめました。去年、世界連邦日本大会で講演したときに、クラスター爆弾の製造には日本の銀行からの融資がされているという話をしました。今年9月、日経新聞は、東京三菱UFJ銀行がクラスター爆弾製造業者へ融資することをやめる方向に動き出したと報じました。預金者が声をあげ、世界連邦運動や他のNGO、市民社会がクラスター爆弾禁止を呼びかけたことがこうした資金の流れを絶つことができたのです。

おカネの流れは二つの流れが必要です。一つはグローバル・タックスのような国際的なおカネの流れ方をつくること。もう一つはローカルな地域の中に回っていくおカネに変えていくことです。地域におカネが戻ってくる仕組みをつくることで私たちの役に立つおカネに切り替えていきましょう。 この二つのおカネの流れが切り替わったなら、私たちはもっと豊かな暮らしができるでしょう。そのためにおカネを新たな構想によって切り替えていく運動。それが今後、必要になっていくと思います。ぜひ、みなさんと一緒に展開していきたいと思います。



パネリスト 勝見貴弘 “日本から人間の安全保障を”〜グローバル・ガヴァナンス確立への道筋〜



この一つの側面はグローバル・タックスと、上村さんはご指摘になりました。現在の経済システムのバケツの穴を塞ぐ。これはとても壮大なことですが、実は日本のお家芸でもあります。それは日本国憲法。憲法に書かれているのは非常に壮大なこと、国家の交戦権の否定、戦力を保持しないということが実現できるのか、これを今まで日本はどう実現してきたのか。このことについてグローバル・ガヴァナンスを安全保障の観点から語りたい。

日本は平和憲法を有するが、自衛隊は警察予備隊を前身とし、1952年に保安庁が創設され、54年に自衛隊法が施行。これが防衛庁に改組され、92年には国際平和協力法という国連に協力する枠組みができました。2004年復興支援目的で自衛隊がイラクに派遣されたのです。ところが防衛省に改組された2007年、中央即応集団という対テロ特殊部隊が自衛隊の中に創設されたのです。

同年、国民投票法が提出され、憲法改定の枠組みができあがりました。2008年、インド洋における給油支援を継続するため、補給支援特措法(新テロ特措法)が成立。2009年アフリカ、ソマリア沖の海賊取締りのため、日本は自衛隊を派遣。同年内に海賊対処法が成立しました。

日本は憲法九条を持ちながら、こうした軍事的協力をどんどん加速してきています。私は以前から憲法九条改正問題に関心を持ち続けてきました。NHKの2007年の調査では憲法改正に賛成の47%は賛成。20%は改正の必要がないと回答。それが過去2年のうちに憲法改正派が多くなりました。これはなぜ起きたか。これは北朝鮮の核などの脅威があって、これに対応するために国民が、憲法を変えないといけないのではないか、憲法を変えないと国際貢献できないのではないかと考えてきたから。

市民側でこうした動きを止めるために2008年5月に九条世界会議が行われました。そこでは憲法九条は日本だけのものでなく、人類の共有財産として大切にすべきだという趣旨の宣言が出されました。こうした壮大なビジョンを出していても、国がこれを政策として採用しない限り、物事は動きません。国を動かすための力を与えられているのが国会議員です。これは国民の信託を受けているわけです。国会の人間の仕事は壮大なビジョンがある一方で、実行的な方向性を出していく。

日本政府は外交の基本方針として「人間の安全保障」の推進を掲げています。これは、安全保障の課題として人間の生存、生活、尊厳を脅かすあらゆる種類の脅威を包括的に捉え、これらに対する取り組みを強化しようとする概念で、日本から出された概念です。 人間の安全保障基金が創設され、国連で行われている数々の活動に出資を行なってきました。

この「人間の安全保障」の概念と並行して発達した新たな概念に「保護する責任」があります。これは、自国民の保護という国家の基本的な義務を果たす能力のない、あるいは果たす意志のない国家に対し、国際社会全体が当該国家の保護を受けるはずの人々について「保護する責任」を負うという概念です。この概念も、国連の成果文書として認められ、国際社会において一定の市民権を得ています。

「保護する責任」は三つの責任から成り立っており、1)予防する責任、2)対応する責任、3)再建する責任からなります。予防する責任は保護しなければいけない状態を引き起こさないということで、これに相当するのが国際刑事裁判所(ICC)です。対応する責任について私たちは国連に国連緊急平和部隊(UNEPS)の創設を提案していますが、まだ実現していません。これは人道的危機に対応する常設の国連部隊をつくって対応するものです。再建する責任について、たとえば地方側方支援という考え方があり、アフガニスタンで行われているような軍民連携でNATOと民間専門家が復興支援を行うというチーム編成があります。
 


パネリスト 土井香苗  “人権外交に影響力行使を!”



世界では、人権=「人間の最低限の尊厳」さえも踏みにじられる行為が続いています。拷問、拉致・強制失踪、紛争下での民間人の大量殺害、恣意的逮捕や強制収容、追放と難民化などです。

近隣アジアでも、北朝鮮、ビルマ、スリランカ、中国のチベットやウイグル、アフガニスタンなどで、大規模な人権侵害が続いています。スリランカでは食糧配給所への爆撃、病院への砲撃がありました。これらは国際法違反です。政府軍、反政府軍ともICCの対象犯罪の中で最も深刻な戦争犯罪を犯しています。また中東のガザでは国際法違反の白リン弾が用いられています。国連の倉庫が爆撃され、三億円相当の医薬品が失われました。

こうした人びとの苦しみを前に、これまでの日本外交は、沈黙を続けてきています。厳しい言い方ですが、権力側につき、被害者側は見捨ててきたのが実態です。日本は、アジア諸国を中心に、世界各国に多額の資金援助(ODA)を出しており、大きな外交的な影響力を持っています。この「影響力」を、日本政府は、被害者たちのために使う準備はできているでしょうか。日本はICCに加入しましたが、加入して終わりということでなく、今後は最も重い戦争犯罪を犯した者がゆうゆうと闊歩することがないよう、人権を守るためにICCをどう使うかということを考えていくべきです。



平口:3人のパネリストの方にコメントしていただきましたが、会場の参加者から基調講演についての質問がいくつか寄せられていますので、上村さんにお答えを兼ねて講演の補足をしていただくことにします。


パネリスト(基調講演者) 上村雄彦

「国際連帯税はいい考えだと思うが、地方自治体の果せる役割はあるのか」との質問にお答えします。国家が話し合って決めると思われがちですが、一般市民、そして地方自治体も含めて世論の後押しがないと実現しません。国際連帯税に関して言えば、まずは知ること、そしてそれを推進する政治家を選ぶということが大事です。

今、足りないのは理想を持つこと。イチローのように実現できるイメージを具体的に強く持つことが大事です。そうすればやるべきことが見えてきます。私たちはそれを今、グローバルなレベルでやるべきだと考えます。



平口:らせん状に話しを進めていきますので、上村さんのコメントをふまえて、田中さん、勝見さん、土井さんの順に補足のコメントをお願いします。

田中:グッズ減税、バッズ課税は徹底した方がよい。そして今こそビジョンが必要です。世界連邦運動はずっとそれを持ち続けてきました。それを積極的に表に出していく時期だと思います。

勝見:官僚主導から政治主導になるよう、政治家も研鑽を積まないといけないし、市民側も、市民社会と政治のシナジーを高めていくことが重要です。

土井:外務省は相手国の人権問題に顔を突っ込まないほうが波風を立てないで済みます。しかし友愛を唱えるなら、各国の人々の人権を守る貢献をすることを期待したい。

平口:パネリストの皆さんから様々なコメントをいただきました。世界連邦という理想に向かって、お集まりの皆様とともに取り組んで参りたいと存じます。今後ともご尽力、ご協力をお願い申し上げます。本日は皆様、ありがとうございました。