世界連邦と立正佼成会とわたし

 
友方 成江 (ともかた まさえ)
立正佼成会金沢教会長

世界連邦石川 34:1(2006.2.1)


超宗派の平和運動を

立正佼成会は法華三部経を所依の経典とする在家仏教教団です。家庭や職場、地域社会の中で釈尊の教えを生かし、平和な世界を築いていきたいと願う人々の集まりです。私たち会員は仏教徒として布教伝道に励みながら、宗教界をはじめ各界の人々と手をたずさえ、国内外でさまざまな平和活動に取り組んでいます。

宗教協力の一環として参画しているのが「世界連邦日本宗教委員会(略称世連日宗委)」です。世連日宗委は、世界連邦運動に呼応し、神道、仏教、キリスト教などの代表により、超宗派の平和運動組織として一九六七年に創立されました。

本会が世界連邦運動とご縁を結んだのは、二年後の一九六九年。開祖の庭野日敬が日本宗教連盟の理事長に就任した際、世連日宗委主催の第一回世界連邦平和促進宗教者身延大会で、大会副会長のお役を頂いてからです。

世連日宗委では、上記の大会の他、広島、長崎、沖縄などの慰霊行事、国際交流などを事業として推進しています。それらの会合に代表が参画することにより、宗教者の立場から世界連邦建設に取り組んでまいりました。今後も世連日宗委の枠組みを通じて世界連邦運動に関わっていきたいと思います。

「一食を捧げる運動」実践

私個人は、この運動の重要性を庭野開祖の法話から学びつつも、運動には直接的に参画した機会はありません。直接には関わっていなくても、いつでも、どこでも、運動の最終目標である世界平和実現に、ささやかながら貢献していると自負している実践があります。それは「一食を捧げる運動」です。世連日宗委でも取り上げて頂いている事業でもあります。飢餓や貧困など困難な状況に苦しむ人々のことを思い、月に数回の食事(一般会員は月二回、青年会員は毎週金曜日の昼食)を抜き、同悲・同苦・祈り、その食費分を献金しています。こうして集められた浄財は、他人を思う真心、善意として、アジアやアフリカなど開発途上国の人々をはじめ、内戦や紛争、災害などで生活できなくなった人々の食糧、学用品、医療費など緊急救援物資となって生かされています。また学校や福祉施設の建設、さらには非武装、開発・環境、人権・難民救済など、平和な世界をつくるための様々な分野の活動に役立てられています。

子どもから学ぶ家庭を

この一食を捧げる運動を通して、世界に関心を寄せる心を今後も引き続き実践していきたいと思っています。同時に、地域社会に住む一市民として、足元を平和にする行動が少しでもできたらと思うのです。昨今、わが国では青少年によるる犯罪が凶悪化し、多発しています。原因は複雑にからんでいるでしょうが、家庭に大きな原因があると言われています。ぬくもりのある家庭が少しずつ増えれば、いのちの尊さを自覚した青少年が増えていき、一人ひとりのいのちを輝かすような地域社会の平和が実現し、やがては日本、世界へとその輪が広がっていくのではないでしょうか。そのためには、“子どもこそ大人の父ぞ”とウイリアム・ワーズワースの詩にありますように、大人が子どもから学んでいこうという姿勢で家庭を斉えることから始めることが大切なのではないかと思います。長い道のりではありますが、日々の出会いを大切にし、喜びの輪を広げていけるよう努力してまいります。