戦争の予防科学として平和学を

 
平口 哲夫 (金沢医科大学教授)

世界連邦石川 33:3(2005.8.1)


戦争・犯罪・病気
―そのアナロジーから見た世界連邦運動の意義―


古今東西を問わず、戦争と犯罪・病気との密接な因果関係については多くの事例があげられる。その実態を直視するならば、いまや戦争という手段によって問題を解決しようとすること自体が犯罪的であり、また、戦争自体が一種の社会的病気である、と言えよう。

戦争を人間社会の犯罪・病気とみなすならば、戦争予防の重要性が浮かび上がってくる。これまでにも戦争の違法化を推進する動きがあり、戦争を取り締まるための国際的な法律・警察・裁判所の必要性が説かれ、不十分ながら一部は実現している(国際人道法、国連平和維持活動、集団安全保障、「人間の安全保障」、国際司法裁判所、国際刑事裁判所)。

戦争という「犯罪・病気」を克服するには予防がもっとも効果的であり、その点で世界連邦運動の提言は単なる理想ではなく、現実的な処方箋なのである。防犯・防疫の科学が存在するように、戦争予防の科学としての平和学を推進していきたい。