理論より融和を
―互いに力を出し合おう―


石川県連合会理事長 稲元 太市

世界連邦石川 1:1(1988.1.10)



人類を戦争の惨禍から救うには世界連邦をつくる以外に方法がないことを一人でも多くの人に納得していただくには、講演会をもっと頻繁に催す必要があると思いますが、世界連邦の話はよほど巧みな話術がないと聴衆をひきつけることが出来ないので、この新聞を出すことにしました。

平和や民生の問題に関心深く、不公平税制の改革など、住民を抱えこんでの活動のみを尊しとして、わが世界連邦運動を、出来もしない理想を追って満足している、と嘲笑している人も多くいます。なるほど、市民生活に直接かかわることは大事で、我々はその運動をする人たちや団体をけなしはしません。そのことはその人たちにしっかりやってもらって、我々のなすべきことは、世界連邦ををつくって、諸悪の根源である「戦争」のない世界をつくるという、大目的に立ち向かっていることを理解してほしいのです。

わが世界連邦建設同盟は、日本が世界に向かって高らかにうたっている「不戦憲法」を腹をすえて確認しています。だが遺憾ながら日本の為政者は、なし崩し的に軍備をしてしまいました。スパイ防止法はそのために必要なわけです。しかし世界の趨勢は、第19回アムステルダム、第20回フィラデルフィアでの世界連邦世界大会で見ると、日本の不戦憲法が次第に高く評価され出しています。軍備と経済の繁栄は相容れないものであるとわかって来たのでしょうか。我々はそのような気運が少しでも盛りあがることに役立ちたいと思っています。

第20回世界大会で特に感じたことは、理論より融和が大切であるということで、理論は、カントの「永遠の平和のために」以来、諸先達が十分につくしています。我々はこれなくして人類に明日はないという固い信念で、互いに信じ合い、尊敬し合って運動の輪を拡げましょう。同盟の湯川会長が言われました。
「みんなが力を出し合おう。智慧のある人は智慧を、能弁な人はその弁舌を、金のある人は金を、時間のある人は時間を、それぞれに自分の持っているものを出し合って進みましょう」と。