講演予稿
世界連邦運動の対極にある現実主義、たとえば尖閣諸島等を巡る対立を重視するような動きは枚挙にいとまがない。国境を守ることが主権国家の条件であるだけに、この問題は国民感情に強く訴えかける。しかし、こうした事態を放置すれば、国民感情に訴えかける分かり易い表現が暴力による解決という方向で世の中を覆ってしまうことは歴史が教えるところである。そうならないようにするには、間に合うあいだにあらゆるレベルでの信頼醸成を行わねばならない。
本講演では、日本発の信頼醸成措置として、HRIF(国際緊急人道支援部隊Humanitarian Relief Task Force)を紹介したい。アメリカを含むアジア太平洋諸国が合意したうえで、国連憲章第八章の「地域組織」(regional organization)に相当する、災害救援および人道的援助を専門とする多国籍からなる民軍組織(国際緊急人道支援部隊/HRIF)の設立は、東北アジアの緊張緩和に大きく貢献するはずだ。
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