『讃美歌21』
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きよしこの夜


Still Nachat, heilige Nachat!
詞:Joseph Mohr, 1782-1848
STILL NACHT
曲:Franz Gruber, 1787-1863



きよしこの夜 星はひかり、

すくいのみ子は まぶねのなかに

ねむりたもう やすらかに。





きよしこの夜 み告げうけし

ひつじかいらは み子の御前に

ぬかずきぬ、 かしこみて。





きよしこの夜 み子の笑みに、

あたらしき代の あしたのひかり

かがやけり、ほがらかに。



ルカ2:15-16

(日本基督教団讃美歌委員会編,1997,『讃美歌21』,日本基督教団出版局)

1818年のクリスマス・イブのこと、オーストリアとドイツの国境の都市ザルツブルグ近郊のオーベンドルフ村で、聖ニコラス教会のヨーゼフ・モール神父は作ったばかりの歌詞を持ってオルガニスト兼聖歌隊指揮者のフランツ・グルーバーを訪ねました。作曲を依頼するためでした。ところがあいにくオルガンが故障中で、グルーバーはその夜のカロルの伴奏をどうするか途方に暮れておりました。モール神父は先ほど作った歌詞をグルーバーに見せて作曲を頼み、オルガンの代わりにグルーバーお得意のギターを使ったらどうかと提唱します。グルーバーはさっそく作曲にとりかかり、なんとかミサに間に合わせました。数日後、オルガン修理のために近くの町からやってきたカール・マウラヒャーは、修理が終わったばかりのオルガンで何か演奏してほしいとグルーバーに頼むと、居合わせたモール神父が例のクリスマス・カロルはどうかと薦めました。これを聴いてすっかり魅せられたマウラヒャーは、その曲の楽譜をコピーさせてもらい、チロル地方に広めた結果、このカロルはチロル地方の民謡を代表する民謡になったのです。それから10年後、マウラヒャーは、ストラスブルク少年合唱団の歌声を聴くうちに、この曲のことを思い出し、急いで4部の合唱曲に仕上げて合唱団に歌ってもらいました。その後、この歌は各地で歌われるようになりました。(参考:梅染信夫,1993,『頌むべきかな 讃美歌物語2』,新教出版社)


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