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日本海域研究所報告 第19号(1987) |
金沢大学日本海域研究所の研究員に名を連ねているが、研究員といっても論文投稿の資格と報告書配布の恩恵が与えられるだけである。 1987年12月29日に金沢大学日本海域研究所第17回研究例会において、「石川県能都町真脇遺跡出土イルカ類について―捕獲から廃棄に至るまでの考察―」と題して発表したところ、工学部教授から次のような至極もっともな質問を受けた。「1回の捕獲頭数が5、6頭としても、縄文時代前期から晩期までざっと5000年間の堆積層からイルカの骨が出土していて、しかもイルカ漁が継続して行われていたと考えられるとのことであるから、全体で285頭しか出土していないというのはあまりに少なすぎるのではあるまいか」と。全面発掘しているわけではなく、地下深くの湿った層など保存条件がよくなければ骨は残らないということもあるので、捕獲されたすべてのイルカの遺体が発見されるわけではないと返答した。 また、宗教哲学専攻の名誉教授からは、「文科系の研究者であるにもかかわらず、方法が自然科学的なのが意外に思った。当時の宗教的な面についての考察も聞きたかった」というコメントがあった。一連の研究でイルカ祭祀についても考察しているが、そのときの発表では精神活動について言及する時間的余裕がなかったのである。 |
平口哲夫 | 1987 | 石川県能都町真脇遺跡出土イルカ第1頚椎をめぐる諸問題 | 日本海域研究所報告 | 19 | 181-206 |
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