| 日本考古学協会が発行する『年報』は、現在、およそ2年遅れで刊行されている。1999年7月に刊行された1997年度版（50）は、総頁数769（A4版）と過去最大の厚さである。考古学関係の情報量は増大する一方であるが、それに応じて無制限に頁数を増やすわけにはいかないから、目的を明確にしないと、どっちつかずの役に立たない年報になってしまう。ニューサイエンス社の『考古学ジャーナル』が前年の動向を回顧しており、かなり詳細な文献リストを掲げているので、『年報』の文献情報はさらに充実したものになってよいはずだが、必ずしもそうはなっていない。各都道府県別にまとめられた文献一覧は、書式が統一されておらず、一貫性がない。『年報48』で石川県の動向を担当した際、できるだけ網羅的に文献を集め、データーベース作成に必要な項目を表示するように努めた。たとえば、報告書は発行機関名だけでなく、執筆者個人の氏名も表示するようにした。しかし、論文等の掲載頁の表示は、年報の編集方針に従って省略されている。このような中途半端な文献一覧で頁がかさばるくらいなら、文献の表示は本文に引用したものに限り、網羅的な文献情報は『年報』とは別にデータ
ベースとして作成し、電子媒体で提供したほうがよいと思う。日本考古学協会のホームページに文献検索の試作品が掲載されているが、まだごく一部の文献しか収録されておらず、方式についても検討の余地が大きい。 |
