特別講演

カナダ極北およびアラスカにおけるホッキョククジラの
動物考古学と古生物地理学


ジェイムズ・M・サベール
(マクギル大学・国立民族学博物館)




この講演は2部構成となっている.第1部は,アラン・P・マッカートニーとの共同調査である,カナダ極北およびアラスカにおける先史時代イヌイットのホッキョククジラ猟の特性と範囲の調査について論じる.ここでは動物考古学的側面に焦点をあて,特に,先史時代イヌイットは漂着したホッキョククジラの遺骸をあさっていたのではなく積極的に捕鯨をしていたのか,という問いに答える上で,クジラの死亡時のプロフィールがどれほど役立つのかについて論じてみたい.第2部ではアーサー・S・ダイクとの共同調査についてまとめる.この調査では過去1万年にわたり自然に「漂流」し,海岸に打ち上げられたホッキョククジラの遺骸の分布と量の変化について検討する.これらの変化は夏季における海氷の変化パターンと関連している.
        
訳者 松本 拓(早稲田大学大学院博士課程)
講師紹介:ジェイムズ・M・サベール教授は,1950年1月カナダのオンタリオ州ストラッドフォード生まれ,1979年オタワ大学で地質学M.Sc. ,1981年アーカンサス大学で人類学M.A. ,1986年アルバータ大学で人類学Ph.D. を取得,スコット極地研究所の客員研究者としてケンブリッジ大学に留学(1987〜1989),1988年来マックギール大学人類学部Professor,2001年〜2002年国立民族学博物館客員教授.カナダ極北・アラスカにおける考古学・地質学調査の豊富な経験をもとに,先史捕鯨についての動物考古学的研究や動物遺体による古環境学的研究を推進している.著書・論文には,Savelle, J.M.,1995. An ethnoarchaeological investigation of Inuit beluga whale and narwhal harvesting. In Hunting the Largest Animals: Native Whaling in the Western Arctic and Subarctic, edited by A.P. McCartney. Canadian Circumpolar Institute, Studies In Whaling No. 3. Pp. 127-148. Savelle, J.M. and McCartney, A.P.,1999. Thule Eskimo bowhead whale interception strategies. World Archaeology 30:437-451. など,多数がある.

第13回大会発表要旨集